歴史的なことをいうと、大昔から歯周病の原因は「歯石」だと思われてきました。
こう書くと、「え?歯石じゃないの?歯科医院では歯石取りましょうと言われるのに?」
と、おっしゃる方がいらっしゃるかもしれませんね。
50年以上昔は歯石のそのものの機械的な刺激で歯肉が炎症になると信じられていましたが、
1965年にロエ先生という偉い人がこういう実験をしました。
歯科大学の学生を集めて歯石を取り、そのあとブラッシングを21日間止めさせたのです。
21日も歯磨き無しですよ。そりゃもう学生たちの口の中は大変なことになったでしょう。
その間、細菌性のプラークが増加していき、それと共に歯肉の炎症も増加していったのです。
その後口腔清掃を再開するとプラークは減少し、同時に歯肉の炎症も消退していきました。
この実験から、歯石ではなく「細菌性プラーク」が歯肉の炎症を起こすことが明らかになったのです。
歯石は、細菌性のプラークが停滞する足場となるので、歯石を取ることはプラークが溜まりにくくすることにつながります。ですから、歯石を取ることが意味のないことにはなりません。
歯石があると、頑張ってブラッシングしても、プラークが取れない場所が残るのです。
きれいに歯石を取った後でも、歯磨きによりプラークを取り除かないと、すぐに歯肉は炎症を起こしてしまうということになります。