僕の師匠(2) 佐藤哲夫先生

最近ブログの更新が滞ってまして、どうもスミマセン。

歯科医院のブログだから、歯と健康に関することを書かないと・・・と考え始めたら

つい敷居が高くなってしまいました。

 

4月にシリーズ連載をしようとはじめた「僕の師匠」。2人目がやっといまごろ登場。

トランペットの佐藤哲夫さんです。

 

そう、もう仕事にこだわることはやめにしたのです。

 

大学に入った僕は、勉強もそこそこにジャズのビッグバンドのサークルに加入しました。

ビッグバンドというのは、映画「スイング・ガールズ」のアレです。

当時はあまり女子は多くなく、むさ苦しい体育会系のサークルでした。

(今は女子の方が多いくらいの勢いらしいです)

 

ビッグバンドのトランペットは吹奏楽に比べて高音域や大音量が要求されます。

それまでの自己流の吹き方の延長では、リードトランペットを吹けるようにはならないと思い、先輩の紹介で佐藤哲夫さんのレッスンを受けるようになったのでした。

 

佐藤さんは、スタジオ・ミュージシャンで、ブルー・コーツや三木敏悟さんのインナ・ギャラクシー・オーケストラなどのビッグバンドや、河合奈保子さんのツアーメンバーなどで活躍していました。アメリカのカールトン・マクベスさんから、「マジオ・システム」という金管奏法の手ほどきを受け、「マジオ・システム」を日本に紹介したりしていました。

 

トランペットは唇をマウスピースのなかで振動させて音を出します。

ピアノやバイオリンの弦のようなものだと例えられたりします。

 

そのせいか、素人は唇を横に引いてセッティングしがちになるのですが、そうすると音は貧弱になり、音域も限られてしまいます。でも、唇が安定するので、手っ取り早く音は出るんです。

 

そこをマジオシステムでは「唇をキスをするように突き出せ」と教えます。

そして舌と息でコントロールするのです。

 

それができるようになるために、通常使う音域のオクターブ下で普段は使わない「ペダルトーン」という音を練習します。

僕はそれまで唇を薄く構えて吹いていたので、マジオ・システムのセッティングでは全然吹けなくなってしまいました。音域も狭くなり、音程もちゃんと取れません。

それでも毎日毎日ペダルトーンばかり練習しているうちに1年後にはなんとか普通の音域が出せるようになり、3年生になるときにはリードトランペットの譜面がなんとかこなせるようになりました。

 

佐藤さんからは、単に奏法だけではなく、トランペットの音の理想のようなものも学びました。

「高い音をがなるようにに出すのではなく、豊かな中低音の上に乗っかるように吹きなさい」

 

いまでもそんなに吹けるわけじゃありませんが、佐藤さんに教わった短い期間のおかげで、20年以上経った今も趣味でトランペットを続けていけています。本当に感謝しています。