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マイクロスコープを用いたむし歯治療のメリット

歯科用のマイクロスコープ(手術用顕微鏡)を用いて、コンポジットレジンなどのむし歯治療を行うことには次のようなメリットが考えられます。

 

1)むし歯菌に汚染されたむし歯の部分を確実に除去できる

2)削る必要のない部分を削らずに残すことが出来る

 

 最大20倍に拡大できますが、実際に削るときは10倍くらいの拡大率で行うことが多いです。また、術野を照らす光源が顕微鏡の中にあるので、視線と光軸が一致し影ができません。細かいところがよく見えるのです。

 

3)ラバーダムと併用することにより、接着操作が確実になる。

 

 むし歯の治療の後何年かたってむし歯になるのは詰め物と歯との間の接合部分から起こります。

 レジン充填の場合、だ液で汚染されていると接着力がガクンと落ちます。また、呼気中の水分も接着の強度に影響するとも言われています。ですから水分が入り込む可能性のあるような状態でコンポジット・レジン充填をするのは、将来二次的なむし歯を起こしてしまう可能性があります。

 

 マイクロスコープを用いる時はほとんどの場合ラバーダム防湿をします。治療する歯だけをゴムのシートで隔離するのです。これにより、だ液や呼気が詰めるところに入り込むことはなくなります。ですから接着操作の化学的過程が確実になるといえるでしょう。

 

4)詰め物の端(辺縁)の適合性に優れた修復が可能になる。

 

 拡大すると、肉眼では見えない部分で詰め物が歯と調和した形態になっている窩洞かを目で見て確認しながら進められるので、段差ができないように操作することが出来ます。

 段差があると、その場所が将来またむし歯になったり歯周病になったりする原因になります。それができなくできます。

その結果として、将来その歯を長く使っていけることになると考えられます。

 

デメリットとしては、

1)時間がかかる。

 たとえば1畳のスペースを片付けるのと、10畳の部屋を片付けるのとどちらが時間がかかるでしょうか?

もちろん10畳の部屋の方でしょう。

 顕微鏡で視野を拡大して治療をする場合、肉眼より10倍大きく見えるのですから、それだけ情報量が多く、それまで1畳のスペースの片付けの精度でしていたところを10畳の部屋の片付けの精度で行う必要があるわけなので。その分時間もかかります。

 

2)費用がかかる。

 保険診療の項目にはマイクロスコープを用いたむし歯治療の点数は設定されていません。

ですから、その費用は全部自費治療になります。

 

しかし、長い目でみれば、歯を長くたせることができると考えられるので、結局お得なのではないかと私は考えます。