逆根管治療

昨日は左上中切歯の逆根管治療でした。

 

根管治療の成功率は100%ではありません。

なぜかというと、根管は先端で細かく枝分かれしていることがありますし、根管の外に細菌がバイオフィルムという状態で付着していたりするからです。

根管治療で治らない症例の「その次の選択肢」として、またセラミックなどのかぶせ物を外すことが困難で根管治療を避けたい場合の代替策として、逆根管治療という方法があります。

歯の根の先に膿がたまっているような病変がある場合に、歯肉の方から切開して根の先を切断し、切断した側から根管の中を3mmくらいの深さで掃除して、MTAやバイオセラミックと呼ばれるお薬で充填します。

MTAの日本での適応は直接覆髄のみとなっていますが、世界的には、逆根管治療や根管治療にかかわる様々なケースでMTAが多用されています。特に逆根管治療においては、もともと逆根管充填材としてMTAが開発されたという経緯もあるため、物理的化学的に有利な点が多いので、第1選択となっています。

ただ、日本では適応外になるため、当院では自費診療において患者さんに説明の上使用しています。

教科書的には根尖から3mm切断して、3mmの逆根管窩洞を形成するのですが、今回は根が短くて3㎜切断すると根充材のスペースがなくなってしまうので、病変に含まれる範囲の根尖部だけを切断して切断面に分枝がないか確認してから逆根管充填しました。

従来、保険診療でも「歯根端切除術」という処置があり、根管治療でよくならない場合に根の先を切断する🄬処置があります。しかし、逆根管充填は多くの場合行われず「切りっぱなし」なので、病変が改善する割合はあまり高くありません。

 

しかし、マイクロスコープとMTAを用いた逆根管治療では病変が治癒する確率は90%以上といわれています。

実際、逆根管充填を行わない歯根端切除術で病変が残ったが、マイクロスコープを使った逆根管治療で改善させた例もあります。