右上5番 歯根嚢胞摘出、逆根管治療

他の歯科医院で根管治療しても改善しなかったケースです。

右上の歯ぐきが腫れているのが治らないとのこと。

上顎洞にも近いところに大きな病変があるので、抜歯を勧められたそうです。

 

病変部には造影性のある薬(ビタペックス)が大量に溢出しています。

 

根尖が吸収しているせいか、根尖孔は広く開大してしまっているようです。

マイクロスコープで観察しながら根管の中を清掃しましたが、病変ぶから根管の中に浸出液が滲んでくるのは止まりませんでしたので、逆根管治療が必要と判断し、ビタペックスを一部根尖部に残して浸出液のバリアにしながらいったんMTAセメントにて根管充填をしました。

後日、外科手術にて病変部の歯根嚢胞を摘出し、根尖部を切除しました。

 

マイクロスコープで切断面を観察すると、前回に充填したMTAは浸出液の影響か疎な部分が認められたため、超音波レトロチップで逆根管窩洞を形成し、逆根管充填をMTAで行いました。

約3か月の経過観察後、予後良好と判断し、フルジルコニアクラウンで歯冠修復を完了しました。

 

病変部は骨の形成により不透過性が増してきています。

 

うちに来る前は、病変も大きいし、排膿は止まらないし、上顎洞は近いので、抜歯を勧められていたとのことですが、幸運なことに上顎洞との交通もなく、歯根の破折もなかったので、歯を抜かずに残すことができました。

 

歯根の長さは短くなっていますが、歯周病で骨支持が減少するケースよりも歯冠歯根比は悪くないので、このくらいなら十分長持ちすることが期待できます。